展示される作品は、修復や貸し出し、展示室の改装で入れ替わります。公式サイトにも、一時的に展示されていない作品の一覧と、閉鎖中の展示室のお知らせのページがあります。そのため、作品の展示室番号は固定の情報として覚えず、入口の案内板か、公式の館内図で当日確認するのが確実です。
3階が絵画の中心で、長い回廊に沿って展示室が並びます。時代順に進むと、ルネサンスの流れが自然にたどれます。
ウフィツィ美術館でもっとも有名な作品が、サンドロ・ボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』です。キャンバスにテンペラで描かれた縦172.5センチ、横278.5センチの大作で、貝殻に乗って岸に着く女神ヴィーナスを描いています。制作は1480年代半ばとされます。
同じボッティチェッリの『春(プリマヴェーラ)』は、『ヴィーナスの誕生』と並んで、ルネサンス絵画の象徴とされる大作です。2作は対ではないものの、いつも一緒に論じられます。英語版ウィキペディアによると、どちらもメディチ家の別荘カステッロの装飾として知られ、1815年にウフィツィ美術館へ移されました。
日本語版ウィキペディアによると、ウフィツィ美術館のボッティチェッリの収集は、質も量も他に類を見ないものです。日本語で「ウフィツィ美術館 春」と検索する人が多いのも、この作品への関心の高さを示しています。
大天使ガブリエルが聖母マリアに受胎を告げる場面を描いた作品です。日本語版ウィキペディアは、1472年から1475年ごろに、若きレオナルドと師のヴェロッキオが描いたとしています。ウフィツィ美術館が入手したのは19世紀で、はじめはほかの画家の作品とみなされていましたが、のちにレオナルドの作品と鑑定されました。
同じ展示室の近くには、レオナルドの未完成の大作『東方三博士の礼拝』も展示されていると、旅行ガイドは紹介しています。ただし、展示場所は変わることがあるため、当日の案内で確認してください。
円形の板に描かれたミケランジェロの聖家族像で、彫刻家として知られる画家らしい、力強い人体表現が特徴です。盛期ルネサンスを代表する3人の巨匠、レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロの作品を同じ美術館で見比べられるのは、ウフィツィ美術館の大きな魅力です。
『ヒワの聖母』は、1505年から1506年ごろにラファエロが、友人ロレンツォ・ナーシの結婚にあわせて描いた板絵とされます。日本語版ウィキペディアによると、のちにメディチ家のコレクションに入り、2008年に10年間にわたる修復が終わって、美術館に戻りました。
ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノが1538年に描いた作品で、ウルビーノ公爵の依頼で描かれました。豪華な室内で横たわる女性を描き、ルネサンスの官能的な裸婦像の代表として知られます。
盾に描かれた、切り落とされたメドゥーサの首を描く作品です。恐怖の表情を、劇的な光と影で表すカラヴァッジョの特徴がよく表れています。16世紀の終わりごろの作とされますが、年代は資料で幅があるため、ここでは細かく断定しません。
3階の順路の最初のほうでは、ビザンチン美術からルネサンスへの橋渡しとなった、13世紀末から14世紀の画家たちの大作が見られます。日本語版ウィキペディアは、チマブーエ、ドゥッチョ、ジョットを挙げています。祭壇画は大きく、金地の背景に聖母子が描かれたものが多く、のちの遠近法を使った絵との違いが、はっきり見て取れます。
15世紀の初期ルネサンスでは、マサッチオ、フラ・アンジェリコ、フィリッポ・リッピ、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、マンテーニャ、ペルジーノ、ギルランダイオなどの作品が並びます。ボッティチェッリは、その流れの中で、この美術館の中心的な存在です。時代順に見ていくと、人物の表現と空間の描き方が少しずつ変わっていくのを、実際に作品で追えます。
メディチ家は、古代ローマの彫刻も熱心に集めました。英語版ウィキペディアは、『メディチのヴィーナス』『研ぎ師』『2人のレスラー』などを挙げています。多くは、失われたギリシャ彫刻の古代ローマ時代の複製で、3階の長い廊下に、胸像とともに並んでいます。絵画を見て歩く途中の通路にも、見落とせない作品があるので、足を止めて眺めてみてください。
| 持ち時間 | 回り方 |
|---|---|
| 約90分 | ボッティチェッリ、レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロだけ |
| 約2時間 | 上の4人に加え、ティツィアーノとカラヴァッジョ |
| 約3時間 | 初期ルネサンス、フランドル、古代彫刻の回廊まで |
初めての人は、時間に余裕があっても、先に有名作品の展示室を見てから、残りをゆっくり回る方法が、疲れにくく、時間の使い方としても無理がありません。音声ガイド(日本語あり)を借りるなら、貸出が17時までなので、早めの入館が向いています。
ウフィツィ美術館の作品の多くは、メディチ家のコレクションが元になっています。作品の背景を知ると、見え方が変わります。たとえば、ボッティチェッリの2作がもともと別荘を飾っていたこと、『受胎告知』が長く別の画家の作と考えられていたことなど、作品ごとの来歴を調べておくと、鑑賞が深まります。歴史はウフィツィ美術館のページで、見学の段取りはチケット予約ガイドで確認できます。
ウフィツィ美術館にあります。『ヴィーナスの誕生』と並ぶ代表作です。展示室は変わることがあるため、館内の案内で確認してください。
ボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』『春』、レオナルドの『受胎告知』、ミケランジェロの『聖家族』、ラファエロの『ヒワの聖母』などです。
個人用であれば撮影できます。フラッシュ、自撮り棒、三脚は禁止です。
全作品は難しいですが、有名作品を中心に見るなら2時間前後が目安です。